役員報酬はいくら?どうやって?もらうべきか。

本日は皆さんの最も興味のある事項の一つ、役員報酬について記載します。役員報酬と書きましたが実際にここで記載するのは、法人税・所得税・社会保険料など役員報酬から引かれるものの話がメインです。法人から役員がお金を移す場合に、どういった方法がいいのでしょうか。

最初にお伝えしておきますが、当事務所は「手取り額を増やすことが最重要だ」などとは考えておりません。今回の話を理解した上で、皆様それぞれに合った役員報酬の金額を決めていただきたい。と考えています。

では、説明していきます。

  • 役員報酬に係る税金
  • 所得税、法人税、社会保険料
  • 配当としてもらう
  • 退職金としてもらう
  • まとめ

役員報酬に係る税金

役員報酬を支給する際にどういった税金が引かれているのでしょうか。

給与明細や源泉徴収票を見てみてください。額面はそこそこあるのに入金額が思ったより少ないな、と感じたことはありませんか。

それは、役員報酬を支給する際に、法人があなたの所得税・住民税・社会保険料を給与から差し引いているからです。

これは別に法人が儲けているわけではなく、法人は一旦預かった税金などを翌月以降に国や年金事務所などにあなたの変わりに支払ってくれているのです。

しかも、社会保険料はあなたの給与から差し引いた額とほぼ同額を法人も負担しています。

所得税・法人税・社会保険料

先に記載したように役員報酬からは所得税・住民税・社会保険料が差し引かれて、あなたの口座に入金されます。

では、役員報酬として貰わなかった場合は、税金はかかるのでしょうか。

かかります。

法人税です。

例えば、売上高1,000万円で経費が役員報酬1,000万円だけだった場合、税引前利益が”ゼロ”なので法人税はかかりません。しかし、役員報酬1,000万円に対して所得税と社会保険料がかかります。

対して、役員報酬200万円とした場合

税引前利益800万円(売上高1,000万円-役員報酬200万円)に対して法人税が、役員報酬200万円に対して所得税・社会保険料がかかります。

ちなみに、法人税率は23%、所得税率は所得次第、社会保険料はだいたい額面の30%(法人負担分含む)です。

手取り額を増やすためには、この法人税・所得税・社会保険料のバランスを見ながら役員報酬の額を決める必要があります。

配当としてもらう

ここからは少しイレギュラーな方法を記載します。まず、配当です。株式会社では法人が稼いだ利益に対して一定額までの配当が認められています。

おそらく役員をやられているあなたは株主だと思います。配当を行うことで法人の資金を個人に移すことができるのです。

そして、配当には社会保険料がかかりません。

ただ、配当は経費になりませんので法人税がかかりますし、配当を受けた個人は所得税が発生します。

これもバランスを見ながら決める必要があります。

退職金としてもらう

税金を低く抑えるという意味での「節税」であれば、この方法が一番所得税を抑える効果があります。しかし、退職時に現金を手にすることとなるので、今資金が欲しいという場合はあまりいい方法ではないかもしれません。

まとめ

役員が法人から資金を移す方法は様々あります。

役員報酬・配当・退職金、はたまた(これはあまり印象が良くないですが)役員貸付金という勘定もあるくらいです。

なんにしろ、日本では他人間でお金を移動させる際は原則税金がかかるような仕組みになっています。

所得税と社会保険料の組み合わせなのか、法人税だけで済むのか、等々検討が必要になってきます。

もちろん、役員報酬1,000万円は切りたくない、配当だとほかの株主にも資金が移動する可能性があるのでやりたくない、など「手取りを増やす」以外にも大切にしていることがあると思います。

そのため、最初にお伝えしたように「手取り額を増やすことが一番」という考えは当事務所にはありません。

皆様の考えを第一に翌期の役員報酬を決めることが大切だと考えています。