会議費5,000円以下の上限 引き上げ?

2023年8月31日令和6年度税制改正要望が各省庁から財務省へ提出されました。まだ要望の段階なので実際にどうなるかわわかりませんが、みなさんが興味を持つであろう要望があったので取り上げます。それは、「会議費5,000円以下の上限の引き上げ」です。今回はこの会議費について話します。

交際費課税とは?

会議費の話をするといったのにいきなり交際費の話をしてしまいすみません。ただ、今回皆様にお話しする内容は交際費ありきの内容となっていますので、会議費に入る前に交際費の話をさせてください。交際費とは接待や慰安にかかった費用を指します。実は、交際費は税務上の経費に入れられる金額が決まっているのです。中小法人では年間800万円まで。どういうこと?ですよね。

例えば、年間1,000万円の交際費をつかったとします。その場合、損益計算書には交際費1,000万円と記載していますが、税務申告書の中でオーバーしている200万円(1,000万円-800万円)は経費から除外することとなります。つまり年間800万円を超えて交際費を使っても税務上の経費にはできない。ということです。経営者による交際費の無駄遣いを防ぎ企業の財務体質の改善を図るといった趣旨から交際費には税務上の上限を設定している、そうです。

会議費5,000円 上限とは?

交際費は800万円まで、という話をしましたが、会議費とどのような関係があるのでしょうか。会議費は会議に係った費用ですので、取引先に対して行う接待や慰安の費用である交際費とはそもそも違うものなのでは?と感じる方もいるでしょう。その通りです。会議費は会議に係った費用なので交際費ではありません。そうなんですが、実は交際費であっても1人5,000円以下の費用であれば、会議費とし経理処理できるのです。

先ほどの例を挙げます。年間1,000万円交際費を使っている法人ですが、実は交際費の中に一人あたり5,000円以下のものが300万円ありました。そうすると、交際費700万円(1,000万円-300万円)、会議費300万円となり、交際費800万円におさまっているので税務申告書で除外される経費がなくなります。つまり、1,000万円すべてを税務上の経費として計算することができるのです。

会議費の上限が上がるとどうなるの?

ではやっと本題です。令和6年税制改正要望で厚生労働省からある要望が提出されました。それは「交際費課税の特例措置の拡充・延長」です。どういった内容かというと、「物価の上昇に伴い飲食店の単価も上がっている中で一人あたり5,000円に抑えるのが難しくなってきています。会議費として処理できる範囲を超えてしまうことが増えてきているので、5,000円の上限を引き上げましょう(引上げ金額は未定)。上限を引き上げれば飲食を伴う接待が増え、飲食店等や産業全体の売り上げが伸び経済全体の事業活動も活発になるはずです!」といった内容の要望です。理由はともあれ、5,000円基準の上限が上がることは法人にとってメリットは大きいのではないでしょうか。今まで交際費として計上していた飲食代を会議費として処理することが可能となれば、交際費と会議費全体として税務上の経費に入れられる金額が増えることとなります。

まとめ

今回の記事の中で出てくる会議費は支出内容は交際費なんだけど、金額が一人当たり5,000円以下なので会議費で処理していいよ。というものです。つまり、会議費の皮をかぶった交際費さんです。一人当たり5,000円以下の交際費さんを会議費として処理するためには、レシート(領収書)を必ず保管して、誰と、何人で、食事をしたのかをメモしておいてください。でないと税務署から否認される可能性があります。

※ランチミーティングなど実際に会議を行った費用で一人5,000円を超えたとしてもそれは会議費です。この場合の会議費は支出内容が会議費なのでもちろん会議費で処理します。本物の会議費さんです。